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2015/01/19

運命と言う諦め方

私の父親は大学教授で植物の原種を集める仕事をしており一年の半分以上を海外で過ごしていた

海外でマラリアにかかり
感染を拡大しない為に隔離された病棟で高熱に苦しみながら闘病生活をおくっていた

治療法がなく周囲の人間には、なんのなすすべも無く看取るしか出来ない状況だった

ゆっくりと死んでいく人を見送る日々の中で
諦めたくても諦められない気持ちと
何をやっても無理だという状況がジワジワと脳を侵す

思考を停止させないと窒息の苦しみで狂い死にしそうな感情の液体に飲み込まれ
私は俳人とかした


深い深い悲観の海の奥底で空を見上げながら
どうにか此処から脱出できないものかと考えた

少しでも気をそらせば窒息の苦しみが押し寄せる

そんな限られた時間の中で私は運命という言葉を受け入れた

愛しき者を失うのは運命で私には何も出来ない
この運命を受け入れ自分に出来る事をしていこうと心に決めた

私は高熱に苦しむ父を海底に置き去り一人空を目指した

海面に出た私は大きく息を吸い無我夢中で泳ぎ浜辺にたどり着いた



今でも、よぎる事は有る
別の方法が有ったんじゃないのだろうか?

今とは違う未来も存在していたのではないだろうか・・・

でも、そんな事は今と為っては、どれだけ考えても無駄な事だし
死んだ人間は蘇らない

父は死んだ

その事実を受け入れ
自分が置かれている状況は運命、定めだと納得して未来に生きていくしかない



数日後に父は他界した。

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